1000年以上続く伝統を、次の1000年へHELP展 In SHIGAオリジナルテーマ「琵琶湖と気候変動」

滋賀県の暮らしを支え、文化を育んできた琵琶湖。 実は、その誕生は400万年前とされ、世界でも20ほどしか存在しない貴重な古代湖です。 長い歴史をもつ琵琶湖には、固有種を含め多様な生物が暮らしています。

そんな琵琶湖を有する滋賀県の人々は、昔から自然と共に生き、豊かで持続可能な文化を育んできました。例えば、1000年(平安時代)以上前から続く琵琶湖の伝統漁法「えり漁」。障害にぶつかるとそれに沿って泳ぐ魚の習性を利用し、「つぼ」とよばれる場所に入った魚のみを漁獲することでとり過ぎを防ぐ待ち受け型の漁法です。

これまで滋賀県の人々は琵琶湖の恵みを大切に使い、様々な伝統や文化を発展させてきました。こうした古来からの営みは、「琵琶湖システム」として国連によって世界農業遺産に認定され、「水と食の文化」として文化庁により日本遺産にも登録されています。

しかし近年、湖岸工事の影響や外来種の侵入、水草の大量繁茂、水質やライフスタイルの変化、周辺森林の荒廃など、琵琶湖を取り巻く状況は大きく様変わりしてきました。加えて、気温や降水パターンの極端な変化といった気候変動の兆しが県内でもみられ、今後さらに影響が増すことが想定されています。

1000年続いてきた琵琶湖の恵みが、次の1000年も続くために。これまでを学び、今を知り、これからを考える機会となるような展覧会にできればと考えています。

トークイベント


8/11(日)には多彩なゲストをお呼びし、HELP展 In SHIGAオリジナルテーマに沿ったトークイベントを開催予定です。知っているようで知らなかった琵琶湖のことを知れるきっかけになります。ぜひ、お誘い合わせのうえご来場ください。

8月11日(日)14:00 – 15:30 場所:旧大津公会堂3Fホール トークテーマ:琵琶湖と気候変動 登壇者:京都大学生態学研究センター長・中野 伸一氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁漁師・駒井 健也氏、ラオス料理人・小松 聖児氏、立命館大学学生・尾下 望氏 定員:先着50名 言語:トークイベントは日本語のみとなります。

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中野 伸一

京都大学生態学研究センター長・教授。愛媛大学南予水産研究センター教授。水域生態系中の微生物学的諸プロセスに注目し、微生物ループの構造と機能(物質循環)の解明を行っている。研究対象水域は、湖沼、沿岸海洋、河川。湖沼、沿岸海洋では、プランクトンの食物網に着目し、植物プランクトンの生態と細菌・超微細藻類と原生生物の食物網の研究を主に行っている。河川では、主に付着微生物を対象とした微生物食物網の研究を行っていた。第17回生態学琵琶湖賞受賞。

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駒井 健也

フィッシャーアーキテクト代表、BIWAKOアーティストインレジデンス実行委員会代表、志賀町漁業協同組合組合員。1992年滋賀県生まれ。滋賀県立大学環境建築デザイン学科、大学院を卒業後、琵琶湖の漁師に弟子入りし、2020年独立。「琵琶湖の中から淡水の暮らしを届けます」という理念のもと、漁師として琵琶湖伝統漁法エリ漁を軸に30種ほどの湖魚の生産、販売、漁体験を行い、漁師の研修生複数名の受け入れ。また、多様な視点から漁師による景観づくりとして、BIWAKOアーティスト・イン・レジデンス企画運営、全国の天然鰻食べ比べイベント、人と自然との繋がりを楽しく学ぶ音声メディア発信等を行い、琵琶湖暮らしの魅力を発信中。