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長野県の中部、諏訪盆地にひろがる湖。信州一の大きさを誇る諏訪湖は、かつては冬になると湖面が厚く結氷した。そして、気温差によって地響きのような轟音とともに氷の亀裂がせりあがって長く走る「御渡り」と呼ばれる自然現象が毎年のように起きた。神様が通ったあととして知られ、心待ちにされる御渡りだが、近年は発生が減少している。御渡りの神事を司る八劔神社の宮坂宮司に話を聞いた。

https://youtu.be/1JXT_U40ttk

コラボアーティスト


八劔神社宮司 宮坂清(Miyasaka Kiyoshi)

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1950年、長野県諏訪市生まれ。國學院大学卒業後、京都・伏見稲荷大社、諏訪大社、手長神社を経て、2020年より現職。趣味は古文書を読むことと篠笛。教誨師を務めている。

ストーリー


JR上諏訪駅を降り、国道に沿って北東に10分ほど。南西に入ると生活道路に面して温泉の手水、石畳の参道と、美しい石の鳥居が見える。

「諏訪は内陸性の気候で、とても寒いところです。冬はマイナス10度の日が3日続くと、周囲16キロの諏訪湖は、ほぼ全面結氷するんですよ」。長野県諏訪市にある八劔(やつるぎ)神社、宮坂清(みやさかきよし)宮司がそう話す。手入れの行き届いた境内は空気がぴんと澄んだように感じられる。

「さらに寒波が来ると、結氷した湖面の亀裂が盛り上がって、対岸に向かって走っていくーー。冬の諏訪湖の姿はこれが当たり前だったんです。最近はなかなか見られなくなりました」

御渡(みわた)り。

完全に結氷した湖面に亀裂ができ、やがて大きく隆起した氷脈が龍が這ったように蛇行して走る。本州では諏訪湖にだけ現れる壮大な自然現象だ。神様の通ったあとといわれ、全国に知られている。